原則4 まずは電子メールの活用から
さてそれでは3年後のパソコン活用を目指して、何をすれば良いだろう。
まず1年目の目標は、社員のパソコンスキルアップと「キーボード+ディスプレー」の文化革命である。
そのために一番簡単で効果があるのが「電子メールを使わせること」だ。
1)まずは電子メールを
1年目は余り大きな目標は立てず、社員全員が電子メールを使いこなせるようにすれば良い。社員に電子メールで取引先やお客様とやり取りをさせて、また社員同士でも電子メールによるコミュニケーションを積極的に進めさせる。もちろんこれは社長以下の経営層や部長クラスも例外ではない。パートや派遣社員を含めた「全社員」が電子メールを使いこなせるようになること、これが1年目の目標である。
ところで電子メールとは何だろう。
イメージ的に言えば、社員一人一人がファックス機を持って、電話や郵便の代わりに、全て一対一でお客さんや取引先とファックスをやりとりしているような物である。
ファックスも電子メールも、基本的に文字情報である。手書きの紙をファックス機に読み込ませてお客さんに送信するように、キーボードで入力した文章をパソコンが電子メールとして送信する。お客さんからのファックスが自分のファックス機にたまっているように、お客さんからの電子メールも自分のパソコンに溜まっており、いつでも読める。またファックス機によっては、送信時に複数の電話番号を指定すれば一度に複数のお客さんに送信できるが、電子メールも宛先を複数指定すれば一度に何十人もの人にメールが送れる。
2)電子メール導入の効果
なぜ電子メールから始めるのが良いかというと、これが一番分かりやすいからである。電子メールをお客さんや取引先との連絡に使い出すと、電話やファックスの代わりになってくるので、業務的に電子メールを使わざるを得なくなってくる。つまり、かなり強制力を持ったツールと言うわけである。電子メールを送ったり受けたりするためには、当然キーボードで文字を入力し、ディスプレーで見る必要があるから、文化革命の件も自然と慣れて行く。
また電子メールは効果が比較的分かりやすい。使ってみれば直ぐ分かるが、電子メールと言うのは結構便利である。キーボードに慣れないうちはなかなか自分からメールは出せないと思うが、部下のメールやお客さんのメールを見ていると、色んな情報がとれるようになる。恐らく電子メールを使い始めて三ヶ月もすると、電子メールは手放せないツールになっているはずだ。
パソコンを導入しても使う目的が無いとなかなか社員は利用しないが、「とにかく電子メールを使え」と号令すれば、直ぐにパソコンの利用は進むだろう。
3)社長自ら電子メールを!
そしてここで大事なのが、社長が率先して電子メールを利用することである。中高年の部長クラスの人は、できればパソコンなんか使いたくないと思っている人も多いだろう。でも彼ら中間管理職がパソコンを使わないと、彼らの部下もパソコンを使わない。
前章で例に出した都銀のOAプロジェクトで、ある支店に行った所、ノートパソコンの上にうず高く資料が積み上げられていた。全くパソコンは活用されておらず、何週間も電源が切られたままの状態であった。彼らのパソコンには、本部からの各種通達や重要なお客様情報等が電子メールで送られていたが、当然彼らの目には触れていない。
何故こんな状態になってしまったかと言うと、ここの支店長がパソコン嫌いの人で、部下がパソコンを使っていると「パソコン見てる暇があったら外回りしてこい」と怒鳴りまくるような人だったのである。当然部下は怖くてパソコンをあけられず、いつまで経ってもこの店のパソコンスキルは向上しなかった訳だ。
御社の場合はここまでひどい人はいないと思うが、中間管理職がパソコン活用に非協力的だとその部下もなかなかパソコンは使いにくいものだ。
でも社長自らが中間管理職やその部下にメールを送り、「例の件メールで送っといたから」と言えば、中間管理職はいやでもメールを見ないわけにはいかず、結果的に社内のメール活用は進むようになる。
文化を変えるのは、トップダウンで行くのが一番効果的であるから、是非御社も社長自ら実践して頂きたい。
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